2026-07-29

相続した実家が空き家のまま広島市内に残っているものの、忙しさや面倒さから、つい放置してしまっている人は少なくありません。
管理されていない空き家は、税金や維持費といったお金の問題だけでなく、思わぬトラブルや将来の大きな負担につながる可能性があります。
実際に、空き家放置が社会全体の課題として取り上げられることも増え、法制度や行政の対応も年々変化しています。
この記事では、広島市で空き家を放置することによるリスクと、税金・法律・近隣トラブルのポイントを整理しながら、相続した実家をどう扱えばよいか、具体的な選択肢と進め方を分かりやすく解説します。
何から手を付ければよいか分からない段階の方こそ、最初の一歩を考えるきっかけとしてお読みください。
全国的に空き家が増え続けており、総務省の住宅・土地統計調査では、2023年時点の空き家数が約900万戸、空き家率も過去最高水準とされています。
広島市も例外ではなく、令和5年住宅・土地統計調査の結果では、市内の空き家数が一部の区で増加していることが示され、空き家問題は身近な課題になりつつあります。
また、広島市は空家等対策計画を策定し、適切な管理や除却を進める方針を明確にしており、行政としても放置空き家の影響を重く見ています。相続した実家をそのままにしている場合でも、市全体の空き家対策の流れの中にあることを意識する必要があります。
空き家を放置すると、まず固定資産税などの税負担だけが続き、使っていないのに維持費だけが出ていく状態になりやすいです。さらに、庭木や雑草の繁茂、建物の老朽化、防犯面の不安など、定期的な見回りや清傷などの管理負担が徐々に重くなります。
「そのうち何とかしよう」と先送りしていると、状態の悪化を見るたびに不安が募り、心理的な負担も大きくなっていきます。結果として、実際に活用や処分を検討する段階になったときには、修繕費や片付け費用が想定以上にかかり、選択肢が狭まるおそれがあります。
とくに相続した実家を広島市内に持ちながら「とりあえず放置」の状態が続いている場合、所有者が気付きにくいリスクがいくつも重なります。建物の劣化が進むことで、将来の売却・賃貸のしやすさが低下するだけでなく、空家法に基づく特定空家や管理不全空家に該当する可能性も出てきます。その結果、税負担の増加や、行政からの指導・勧告、近隣からの苦情など、想定していかったトラブルに発展することもあります。
| 項目 | 放置した場合の影響 | 早めに動くメリット |
|---|---|---|
| 税金・維持費 | 固定資産税負担の長期化 | 不要負担の早期軽減 |
| 建物の状態 | 老朽化進行と価値低下 | 売却や活用の選択肢拡大 |
| 近隣との関係 | 景観悪化や苦情発生 | 良好な近隣環境の維持 |
空家等対策特別措置法では、防災・衛生・景観などの観点から問題が大きい空き家を、市区町村が「特定空家等」として位置付け、除却や修繕を求める仕組みが整えられています。
令和5年の法改正により、その前段階として「管理不全空家等」という区分も新たに設けられ、適切な管理がされていない空き家への対応が強化されました。
こうした空き家に対しては、市区町村が現地確認を行い、助言・指導・勧告・命令と段階的に措置を進めることができるため、相続した実家を長期間放置すると、法的な手続きの対象になる可能性が高まります。所有者が対応しないまま様子を見るほど、法令に基づく関与が強くなり、自由な判断だけでは動きにくくなるおそれがあるのです。
税金面では、固定資産税や都市計画税における「住宅用地の特例」が重要なポイントになります。通常、住宅の敷地には課税標準を最大で1/6まで軽減する特例が適用されますが、「特定空家等」または「管理不全空家等」として勧告を受けた土地は、この特例の対象外(解除)となります。
軽減措置が失われることで固定資産税負担が数倍に増える場合があり、相続した実家を放置することが家計への大きな負担につながりかねません。
さらに、法的リスクとしては、市区町村からの命令に従わない場合の行政代執や、その費用負担が挙げられます。広島市でも、倒壊や衛生面の危険が大きい空き家については、所有者に改善を求め、それでも対応がなされないときには行政代執行による除却が行われ、その費用は所有者が負担する仕組みとされています。
| 段階 | 空き家の状態 | 主な税金・法的リスク |
|---|---|---|
| 助言・指導 | 雑草繁茂や外観劣化 | 改善要請と将来の勧告懸念 |
| 管理不全空家等 | 放置すれば危険拡大 | 住宅用地特例の解除(税金増) |
| 特定空家等 | 倒壊危険や衛生悪化 | 命令・代執行と費用負担 |
適切に管理されていない空き家が防災や衛生、景観など周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしている実態があります。雑草や雑木の繁茂、ごみの投棄、害虫の発生、景観の悪化などが、近隣住民からの代表的な苦情として挙げられています。
こうした環境悪化は、所有者の目の届かないところで進行し、気付いた時には近隣との関係に影響を及ぼしている場合もあります。そのため、相続した実家を誰も住んでいない状態で放置する場合でも、定期的な見回りと清掃を心がけることが重要です。
空き家を長期間放置すると、建物や設備は想像以上の速さで老朽化し、屋根材や外壁の一部が剥がれ落ちる危険性が高まります。外壁の落下或いは瓦の飛散により通行人が負傷したり、隣家の車両や建物が損傷したことにより、損害賠償責任を問われる事例も存在します。
民法第717条では、建物の設置や保存に瑕疵があり第三者に損害が生じた場合、原則として所有者が賠償責任を負うと定められています。さらに老朽化が進んだ空き家は災害時に倒壊のおそれが高く、撤去が必要になった場合には多額の工事費用を所有者が負担しなければなりません。
雑草が生い茂り郵便物が溜まったままの建物は、不在が一目で分かるため、不法侵入や放火の対象となる危険性が高まります。その結果、近隣住民の不安が増えトラブルに発展しやすくなるため、施錠の徹底や郵便物の整理、庭木や雑草の管理など、最低限の防犯管理を継続することが欠かせません。
| 主なトラブル要因 | 周辺への具体的影響 | 所有者が行いたい管理 |
|---|---|---|
| 雑草・ごみ・害虫 | 悪臭や景観悪化による苦情 | 定期的な草刈りと清掃実施 |
| 外壁や屋根の老朽化 | 落下物や倒壊による人身被害 | ひび割れ等の点検と早期修繕 |
| 施錠不備や破損箇所 | 不法侵入や放火による防犯不安 | 施錠確認と開口部の補修徹底 |
相続した実家が空き家のまま残っている場合でも、処分や活用の方法はいくつかに整理できます。自分と家族の状況に合う方法を早めに見極めることが大切です。
ステップ1:権利関係と現状の把握
まずは登記簿で名義人や持分割合など権利関係を確認し、建物の老朽化や設備の状態、周辺環境などの現状把握を行います。
ステップ2:収支のシミュレーション
次に解体費用やリフォーム費用、売却や賃貸で見込める収入、固定資産税などを概算し、全体の収支イメージを持つことが重要です。
ステップ3:親族間での話し合い
そのうえで、相続人同士で希望や不安を共有しながら、将来の相続やライフプランも踏まえて方向性を話し合うと合意形成が進みやすくなります。
相続発生後は登記内容の確認や家財の整理を進めつつ、専門家に相談しながら方針を検討することが推奨されています。広島市でも空き家対策に関する相談窓口が案内されており、税制優遇の手続きや利活用の相談などに応じています。
また、実務的な売却や「いくらで売れるか」の価格算定、現状のまま手放す方法(直接買取など)については、地元の不動産会社に相談するのがスムーズです。
「まだ大丈夫」と先送りにしてしまわないよう、ご自身の持ち家の状況について以下のチェックポイントで現状を確認してみましょう。
チェックがつかない項目があっても焦る必要はありません。まずは現状を知り、ご家族にとって最も負担の少ない選択肢を一緒に見つけていきましょう。
相続した実家の空き家を放置すると、税金負担の増加や法的リスク、近隣トラブルなど、時間とともに問題が大きくなっていきます。「今はまだ大丈夫」と先送りにせず、現状の確認と今後の方針を早めに決めておくことが、自分と家族を守る近道です。
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