2026-06-10

相続や転勤などで、使っていない空き家をそのままにしていないでしょうか。
「毎年かかる固定資産税がもったいない」「老朽化が進んで不安だ」と感じていても、どのタイミングで、どのように売却すべきか分からず、判断を先送りにしている方は少なくありません。
しかし、空き家は放置するほど維持管理の手間やコストが増え、場合によっては特定空家として税負担が重くなる可能性もあります。
そこで本記事では、空き家の売却を検討する際に知っておきたい注意点を、「現状のまま売る場合」と「解体して更地にする場合」に分けて整理します。
あわせて、売却で損をしないための税金や控除のポイントも分かりやすく解説しますので、空き家の扱いに悩んでいる方は、判断材料としてぜひ参考にしてください。
空き家を売却する前には、まず登記簿上の名義と、実際に所有している人が一致しているかを確認することが大切です。
相続で取得した空き家なのに相続登記が済んでいない場合、そのままでは売買契約や引き渡しの手続きが円滑に進みにくくなります。
また、兄弟姉妹など複数名で共有になっていると、全員の同意がなければ売却できません。
さらに、住宅ローンなどの抵当権や差押えの有無も事前に調べておくことで、後から条件変更や手続きのやり直しが生じるリスクを抑えられます。
空き家を所有していると、居住していなくても土地と建物に固定資産税がかかり、市街化区域内では都市計画税も課税されます。
住宅が建っている土地には、税負担を軽くする特例が適用される一方、適切に管理されていない空き家が「特定空家等」と判断され、勧告を受けると、この特例から除外される場合があります。
その結果として、土地にかかる固定資産税や都市計画税の負担が急増する可能性があるため、売却を先送りにすることで税金面のデメリットが大きくならないか整理しておく必要があります。
さらに、空き家の所有者には、建物や敷地を適切に管理し、周囲の生活環境に悪影響を与えないようにする責務があります。
具体的には、庭木や雑草が道路にはみ出さないようにすることや、老朽化した外壁や屋根瓦が落下しないよう点検すること、防犯のために戸締まりや窓ガラスの破損箇所を放置しないことなどが挙げられます。
管理が行き届いていない空き家は、景観の悪化やごみの不法投棄、火災・犯罪の温床となるおそれがあり、近隣トラブルにつながりかねません。
売却を検討する段階でも、定期的な見回りや清掃を行い、危険性があれば早めに専門家へ相談しておくことが安心につながります。
| 確認項目 | 主な内容 | 放置した場合の影響 |
|---|---|---|
| 権利関係の整理 | 相続登記・共有者・抵当権 | 売却手続きの遅延・紛争の可能性 |
| 税負担の把握 | 固定資産税・都市計画税 | 特例除外による税負担増のリスク |
| 管理状況の確認 | 雑草・老朽化・防犯対策 | 近隣トラブル・特定空家指定の恐れ |
空き家を現状のまま売却する場合には、まず建物の傷み具合を冷静に把握することが欠かせません。
国土交通省は、売却や賃貸の前に雨漏りや構造上の不具合などを調査し、事前に把握しておくことを推奨しています。
特に、シロアリ被害や雨漏り、給排水設備の故障などは、契約後に発覚すると「契約不適合責任」の対象となる可能性があります。
売主が知っている不具合を隠して契約した場合、損害賠償や契約解除などの請求を受けるおそれがあるため、事前の点検と買主への正確な告知が重要です。
現状のまま売却するときは、土地や建物の法的な状態も合わせて確認しておく必要があります。
建物が建築基準法や関係法令に適合していない「違反建築物」であったり、増築部分が確認申請を経ていない場合、買主が融資を受けにくくなり、取引条件が厳しくなる傾向があります。
また、現在は適法であるものの、法令改正により基準を満たさなくなった「既存不適格建築物」の場合も、増改築に制限が出るなど、将来の制約について丁寧な説明が必要です。
さらに、境界標が不明確であったり、越境や地中埋設物が疑われる場合には、測量や専門調査を検討し、後々の紛争を未然に防ぐことが望ましいです。
現状売却の場合、価格は建物の老朽化の程度や法的リスク、必要な修繕費用などを踏まえて決まることが一般的です。
老朽化が進んでいる空き家や違反建築の疑いがある建物は、通常の中古住宅よりも価格を抑えて売り出す必要があり、売却までの期間も長くなりやすいと指摘されています。
一方で、売却完了まで空き家を維持するには、定期的な草刈りや換気などの管理コストが継続して発生します。
そのため、希望価格や売却までの期間、管理の手間や費用を総合的に比較し、どの水準で売り出すかを検討することが大切です。
| 確認項目 | 主な内容 | 注意すべきリスク |
|---|---|---|
| 建物の状態把握 | 雨漏り・腐食・設備不良 | 契約不適合責任による請求の恐れ |
| 法令・権利関係 | 違反建築・既存不適格の有無 | 融資困難・契約解除の可能性 |
| 価格と売却条件 | 老朽度と管理コストの反映 | 長期募集中・大幅値下げの懸念 |
空き家を解体して更地にすると、古家付き土地として売却する場合と比べて、土地の使い方を自由に検討したい購入希望者にとって魅力が高まりやすいです。
買主が新築住宅や駐車場など多様な利用方法を計画しやすくなるため、募集条件によっては問い合わせが増える可能性があります。
また、老朽化した建物による倒壊や雨漏りなどの不安を取り除けるため、売主様ご自身の心理的な負担や管理の手間が軽くなる面もあります。

一方で、解体にはまとまった費用が必要になるため、事前におおよその相場を把握しておくことが大切です。
一般的な木造住宅の解体費用は、延べ床面積に応じて坪単価で見積もられることが多く、全国的な相場としては概ね坪3.5万〜4.5万円前後とされています。構造が鉄骨造や鉄筋コンクリート造になるとさらに高くなる傾向があります。
また、建物本体以外にも、ブロック塀や庭木、地中埋設物の撤去などに追加費用がかかる場合があるため、見積書の内訳を細かく確認しておく必要があります。
こうした工事費を、売却価格でどこまで回収できるかを事前に試算しておくことが重要です。
さらに、更地にすると固定資産税と都市計画税の負担が増える可能性がある点にも注意が必要です。
住宅が建っている土地には、多くの場合「住宅用地の特例」が適用されていますが、家屋を解体して更地にすると翌年度からこの特例が外れ、土地の税負担が大きくなる仕組みになっています。
解体のタイミングと売却時期、税金の増減を総合的に比べながら、どちらが得策かを判断することが大切です。
| 比較項目 | 古家付き土地売却 | 解体して更地売却 |
|---|---|---|
| 買主の活用自由度 | 既存建物を前提とした活用 | 建築計画を自由に検討しやすい |
| 解体費用の負担 | 買主または将来負担 | 売主が先行して負担 |
| 固定資産税の扱い | 住宅用地特例を維持 | 特例終了で税負担が増加 |
| 老朽建物のリスク | 倒壊・雨漏り等の懸念が残存 | 建物をなくすことで安全性を確保 |
相続した空き家を売却する際には、「被相続人の居住用財産に係る3,000万円特別控除」の活用を検討できる場合があります。
この特例は、被相続人(亡くなられた方)が1人で所有していた居住用家屋とその敷地などを、一定の期限までに譲渡した場合に適用されます。
主な条件として、「相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡」であることや、「譲渡時点で耐震基準を満たす住宅か、解体して更地としていること」などが挙げられます。
適用要件は細かいため、国税庁の最新情報を確認し、事前にご自身のケースが該当するかを整理しておくことが大切です。
空き家を売却して利益が出た場合には、「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。
譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算し、利益がプラスになった部分が課税対象となります。
所有期間が「5年以下」か「5年を超えるか」によって税率が変わり、5年を超える長期譲渡所得の方が税率は低く抑えられます。
給与所得者であっても、空き家売却で譲渡所得が生じた場合には、原則として確定申告が必要になるため、申告時期までに必要書類をそろえておくことが重要です。
空き家売却に伴う税金や控除の判断が難しいと感じたときは、税理士や不動産会社などの専門家への相談を検討すると安心です。
相談前には、登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、売買契約書や過去のリフォームに関する資料などを準備しておくと、話がスムーズに進みます。
また、相続関係を示す戸籍関係書類や遺産分割協議書があれば、特例の適用可否や持分に応じた税額計算についても具体的な助言を受けやすくなります。
このように事前準備を整えたうえで相談することで、控除の漏れや誤った申告を防ぎ、結果として手取り金額を守ることにつながります。
| 項目 | 確認すべき内容 | 準備しておきたい資料の例 |
|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 適用要件と期限の確認 | 相続開始日が分かる書類など |
| 譲渡所得税・住民税 | 所有期間の確認と税率区分 | 取得費・譲渡費用の証拠となる書類 |
| 専門家への相談 | 相談のタイミングや内容の整理 | 登記事項証明書、納税通知書一式 |
今後の手続きをスムーズに進めるため、ご自宅の空き家について現状が整理できているか、以下のポイントで確認してみましょう。
もし「まだよく分からない」項目があってもご安心ください。
まずは現状を整理し、必要な情報を揃えることから一緒に始めていきましょう。
空き家の売却では、名義や共有者、抵当権の有無、建物の状態、境界や違法建築の有無、そして税金に至るまで、総合的な確認が欠かせません。
「現状のまま売却するか」「解体して更地にするか」の選択によって、価格やかかるコスト、売れるまでの期間も大きく変わってきます。
また、3,000万円特別控除などの税制優遇を上手に活用できるかどうかで、最終的な手取り額に大きな差が出る可能性もあります。
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